
お疲れ様です。 Tamago13です。
ブログ休止期間中に一級建築士を取得しました!
青森県といえば、豊かな自然や美しい四季、そして魅力的な文化や歴史が魅力の地。
私自身、初めて青森を訪れた際、八甲田山の絶景や奥入瀬渓流の美しさに圧倒されました。
加えて、青森には自然と調和した建築が数多く存在し、建築好きにとってもたまらないスポットが満載です。
本記事では、青森県にある厳選された10の建築物を紹介し、その魅力をお届けします。
旅行の新しい目的地として、建築にフォーカスしてみませんか?
この建築旅行シリーズは、学部・修士と建築を専攻し、もちろん建築大好きな私が、旅行のおすすめのスポットを「建築物」にフォーカス。
厳選した10の建築の紹介と、自論で解説をします。
観光地や自然、食事だけではない、青森にある魅力的な建築を「厳選!!&全力で宣伝!!」
※公共の現代建築がメイン。住宅は抜いています。
青森県にある建築の特徴は?


青森と言えば雪!リンゴ!マグロ!
青森県は冬の厳しい寒さ、積雪、そして美しい自然に囲まれた特有の環境が魅力。
これらの環境に合わせ、地元の素材を活かした建築や、雪害・寒冷地に対応した設計が特徴です。
また、古代から続く祭りや文化を反映した伝統建築も見どころのひとつ。
青森でしか味わえない、自然と調和する建築の魅力をぜひご覧ください!
青森で訪れるべき建築10選!
さて、ここからは青森に実在する建築のうち、10の建築を厳選し紹介、解説します。
1.青森県立美術館
縄文時代の遺跡として認識されている竪穴住居や高床式倉庫のある三内丸山遺跡の隣に位置し、遺跡から着想を得た建築です。
地中に埋まるような構造は、周囲の自然との調和を意識。
掘りこまれたような敷地の上に、白い煉瓦を外装材として用いたボックスが配置されています。
建物内も特徴的で、美術館によくある真っ白な空間「ホワイトキューブ」だけでなく、土の床と壁で構成された、まさに竪穴住居のように土の中にいるかのような展示空間もあり、ここにしかない展示体験を与えてくれます。
降雪時には、真っ白な外観も相まって自然の中に溶け込むような印象なのが特徴的です。
館内サインなどのVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)にも力を入れている作品なので、ぜひ館内も覗いてみてください。
- 名称:青森県立美術館
- 設計:青木淳
- 竣工年:2005年
- 営業時間:9:30~17:00 (公式HPをご確認ください)
- 公式サイト
2.ねぶたの家 ワ・ラッセ
青森駅の目の前にある青森市のシンボル的建築で、ねぶた祭の歴史と文化を体感できる施設。
時期的にねぶた祭が見れなくても休館日でなければいつでも出し物を見学できるミュージアムです。
黒みがかった赤いグラデーションの外観が青森の青空に映え、細いスチール材を使ったファサードはカーテンのようにも見えるのが特徴的。出入り口部分のファサードは、カーテンをめくったような3次曲線で構成されており、スチール材にもかかわらず繊細な印象を受けます。
内部では実物大のねぶたを間近で見られるほか、製作工程の展示も行われています。
- 名称:ねぶたの家 ワ・ラッセ
- 設計:molo design
- 竣工年:2011年
- 営業時間:9:00~19:00(時期によって変動するので要確認)
- 公式サイト
3.弘前れんが倉庫美術館
中央弘前駅近くにある、元ビール工場であった倉庫をコンバージョンした美術館。
地元産の木材と、倉庫で用いられていた赤レンガを組み合わせ、伝統と現代が融合したデザインが特徴的です。設計は帝国ホテル(東京)の新本館再開発でも選ばれた田根剛さんです。
札幌の「サッポロファクトリー」や函館や横浜の赤レンガを回収した商業施設は国内に数多くありますが、弘前れんが倉庫美術館は、赤レンガを用いた意匠的な美しさが特徴です。下図のようにエントランスにはレンガによる凹凸のある装飾が施され、どこか有機的に感じられる意匠となっています。
引用元:#CASA
倉庫の中身を回収したり、中庭のような場所に大屋根をかける改修手法はよくありますが、レンガを用いて外装にアクセントを加えるような手法はここでしか見られないのではないでしょうか?
- 名称:弘前れんが倉庫美術館
- 設計:田根剛
- 竣工年:2020年
- 営業時間:9:00~17:00(公式HPをご確認ください)
- 公式サイト
4.十和田市現代美術館
大小さまざまな白いキューブが集合するユニークなデザインの美術館。
西沢立衛氏らしい軽やかな空間構成で、各展示室が異なるボリュームを持つ独立した小さな「箱」として配置されています。
建物自体がアートのような存在感を持ちながら、地域と訪問者をつなぐ場として機能。外光を取り込む窓の配置にも工夫があり、時間や季節によって異なる表情を見せるのが魅力です。
冬季は雪に埋もれる中、地面から唐突に突き出した雪のBOXのような外観となり、なんとなく幻想的な雰囲気も感じられます。
- 名称:十和田市現代美術館
- 設計:西澤 立衛
- 竣工年:2008年
- 営業時間:9:00~17:00(公式HPをご確認ください)
- 公式サイト
5.八甲田ホテル
引用元:ニフティ温泉(公式HP)
八甲田の大自然の中に存在する木造のホテル。八甲田山の景観と調和するように設計されつつ、木造でありながら大雪にも当然耐えられる分棟型のホテルです。釘や金物を使用せずに建設されており、大工さんの知恵と技が今なお生きる建築です。
訪れた際には、柱と梁の接合部など、ディテールにも注目したい建築物です。
館内は木材独特の温かみのある空間が訪れる人々を包み込みます。
自然素材を活用しつつ、耐久性や快適性にも配慮された設計で、雪深い地域における建築の課題を解決した作品です。
引用元:八甲田ホテル(公式HP)
- 名称:八甲田ホテル
- 設計:早川正夫建築設計事務所
- 竣工年:1991年
- 営業時間:八甲田ホテルに準ずる
- 公式サイト
6.鶴の舞橋
こちらは土木の分野ではありますが、木の架構と周辺の景観とのマッチが美しい「鶴の舞橋」です。
駅からは結構な距離があるので、タクシーなど車両でアクセスするのがベストです。
日本最長の木造三連太鼓橋で、津軽富士見湖と岩木山の美しい風景を背景にした絶景スポット。
地元の職人技を駆使した木工建築の傑作で、湖面に映る姿はまるで一枚の絵画のよう。自然と建築が織りなす調和が、訪れる人々に感動を与えます。
- 名称:鶴の舞橋
- 設計:冨田秀雄
- 竣工年:1994年
- 営業時間:8:00~21:00(公式HPをご確認ください)
- 【公式】青森県観光情報サイト Amazing AOMORI
7.国際芸術センター青森(ACAC)
引用元:美術手帖
八甲田山の山麓に佇むコンクリート打ちっぱなしの建築です。
周囲の自然環境と調和するように、地形に沿ってボリュームが配置されています。自然の中で異様なコンクリートという素材で構成しつつも、環境に馴染むように設計されているこれぞ安藤忠雄と言える作品です。
コンクリートが成しえる「自由な形態」が素材としては異質であるものの、景観としては調和が図られていると感じます。
こちらも最寄りの公共交通機関から距離があるので、バスなどの車両を利用することをお勧めします。
引用元:国際芸術センター青森(公式HP)
- 名称:国際芸術センター青森(ACAC)
- 設計:安藤忠雄
- 竣工年:2001年
- 営業時間:9:00~19:00(公式HPをご確認ください)
- 公式サイト
8.十和田市民交流プラザ(トワーレ)
今や国を代表する建築家である隈研吾氏が手がけたこの交流施設は、「地域と人々をつなぐ場」というコンセプトで設計されています。外観は、切妻屋根が連続する独特のデザインで、ランダムのように見えてリズミカルに構成されています。
単なる意匠的な意味合いだけではなく、雪深い十和田の環境に配慮し、雪が自然に落ちるよう工夫されており、機能も伴った形態をしています。
建材には地元産の木材をふんだんに使用し、外装や内部空間に木のぬくもりを取り込むことで、訪れる人々にリラックスした雰囲気を与え、「みちの広場」と名付けられたメインスペースは、地域住民が集まり、自然に交流が生まれるような計画がされています。
隈建築の特徴である「自然素材の活用」と「地域文化の尊重」が随所に見られるこの建築は、地域のコミュニティを育む重要な役割を果たしています。
- 名称:十和田市民交流プラザ(トワーレ)
- 設計:隈研吾
- 竣工年:2015年
- 営業時間:9:00~21:00 (市の情報をご確認ください)
- 十和田市案内ページ
9.八戸まちなか広場 マチニワ
引用元:VISITはちのへ観光情報サイト
八戸まちなか広場「マチニワ」は、「街の中の庭」 をコンセプトに設計された、地域文化と調和する全天候型の多目的広場です。解放時は半屋外のような形となり、文字通り風の抜ける開放的な空間になります。
広場というと芝生を敷いた広大な空間にすることが多いですが、全天候型にしているのが特徴的で、多用途のイベントにも対応できるポテンシャルがありますね。
地元の木材を使用した「菱刺」という架構が特徴で、伝統模様を取り入れたデザインが、地域の文化を現代建築に昇華させている魅力的な作品です。
また、シンボルオブジェ「水の樹」と木架構が呼応し合い、空間全体に自然と文化が融合した温かみを演出しています。昼間の透明感あふれる明るい空間から、夜のライトアップによる幻想的な雰囲気まで、訪れる時間帯によって異なる表情を楽しむことができます。
引用元:八戸ポータルミュージアム はっち
- 名称:八戸まちなか広場 マチニワ
- 設計:INA設計
- 竣工年:2018年
- 営業時間:6:00~23:00(行政の公式HPをご確認ください)
- 八戸市公式HP
10.しもきた克雪ドーム
引用元:日経xTECH
最後に紹介するのは、まさに雪の山のような「しもきた克雪(こくせつ)ドーム」です。
青森県むつ市に位置する多目的ドームで、京都駅などの設計で有名な原広司が手がけた独特なデザインが際立つ建築作品。その名の通り、雪深い下北地域における「克雪」をテーマに設計され、厳しい気候条件の中で多様な用途に対応するスペースを提供しています。
建物の形状は巨大な白い半球型で、積雪を自然に排除する滑らかな曲線を描いています。この形状は、雪国ならではの環境に適応しつつ、視覚的にもアイコニックな存在感を放ちます。平面は正方形で構成され、縦横108メートルの広大なアリーナ空間を実現。
また、内部の構造も特徴的で、空間全体を覆う幾何学的なトラス構造が、美しさと機能性を兼ね備えています。このトラス構造は、原広司が得意とする建築的テーマ「幾何学と自然との調和」を象徴するかのような構成となっています。
引用元:新建築データ
外観の優美な曲線美と内部空間の広がり、そして地域の気候や文化への配慮が随所に感じられるこの建築の魅力を存分に味わってください!!
- 名称:しもきた克雪ドーム
- 設計:原広司+アトリエ・ファイ建築研究所
- 竣工年:2006年
- 営業時間:利用は別途利用料が必要(外観はいつでも見れます!)
- むつ市ウェルネスパーク公式HP
まとめ

「建築旅行シリーズ」の第2回は、青森県から10つの魅力的な建築物を厳選しました。
青森にはまだまだ魅力的な建築があります。是非さらに調べて実際に足を運んでみましょう!!
また青森にあるの建築作品は、やはり降雪や豊富な自然環境に調和するデザインのモノが多い印象です。地産地消として地元の素材を建材として利用したもの、その土地ならではの歴史をデザインに取り込んだもの、雪に溶け込むような外観を意識していそうなもの。
どれも魅力的ですね!!
建築巡りを旅の目的にし、設計者の意図を自分なりの解釈で想像するのも楽しみになるはずです。
青森へ観光に行く際は、ぜひ参考にしてみてください。
最後までお読みくださりありがとうございました。
Tamago13
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